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サプリと生の果物、ビタミンの摂り方で何が違う?論文と公的データで調べた“人に話せる”栄養の雑学

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美容りんご

サプリと生の果物、ビタミンの摂り方で何が違う?論文と公的データで調べた“人に話せる”栄養の雑学

2026-09-23

「ビタミンCなら、サプリで摂っても果物で摂っても同じでしょう?」——こう聞かれたら、なんと答えますか。

先に答えをお伝えすると、ビタミンCそのものは、サプリでも果物でも吸収率はほぼ同じです。これは研究でもはっきりしています。それでも「果物で摂るのがいい」と言われるのには、ちゃんと理由があります。違いは、ビタミンC“以外”にいっしょに入っているものと、食べ方にありました。

この記事では、Nature・BMJなどの学術論文と、厚生労働省・文部科学省の公的データだけをもとに、ママや女性が自信を持って人に話せる“果物と栄養の雑学”をまとめました。

まず正直に:ビタミンCの吸収率は「同じ」

最初に、よくある誤解をひとつほどいておきます。「天然のビタミンCのほうが吸収がいい」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、研究の結論は少し違います。

ニュージーランドの研究者によるレビュー論文(Carr & Vissers, Nutrients 2013)は、人や動物での試験をまとめたうえで、次のように結論づけています。

  • 合成のビタミンCと、果物などの食品に含まれるビタミンCは、化学的にまったく同じ物質
  • 体への取り込まれやすさ(吸収率)も、おおむね同等

つまり「ビタミンCの量」だけを比べるなら、サプリも果物も変わりません。では、何が違うのでしょうか。

りんごの“隠れた実力”——99%以上はビタミンC以外

ここからが、人に話したくなるポイントです。

りんごのビタミンCは、可食部100gあたりわずか4mg(皮なし・生/日本食品標準成分表 八訂)。いちごの62mgに比べると、ずっと少ない量です。

ところが、2000年に科学誌 Nature に掲載された米コーネル大学の研究(Eberhardt ほか)で、おもしろい結果が出ています。

  • 生のりんご100gの抗酸化力(体をサビつかせる物質を打ち消す力)を化学的に測ると、ビタミンC約1500mg分に相当
  • そのうち、ビタミンC自体が占める割合は0.4%未満
  • 残りの大部分は、ポリフェノールなどビタミンC以外の成分によるもの

たとえるなら、りんごは「ビタミンCの量は控えめでも、ほかの成分がたくさん働いている果物」。ビタミンCの錠剤だけでは、この“ほかの成分”はついてきません。

なお、この数値は試験管の中で化学的に測ったもので、「りんごを食べると体の中でビタミンC1500mg分の働きをする」という意味ではありません。人に話すときは「抗酸化力を測ると、ビタミンC1500mg分に相当した」と言うのが正確です。

まな板の上でくし切りにした青りんご

※写真はイメージです / Photo: Jessica Lewis Thepaintedsquare on Unsplash

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編集部より:りんごのポリフェノールは皮のあたりに多いと言われます。よく洗って皮ごと薄くスライスすれば、小さなお子さんのおやつやお弁当の彩りにもなりますよ。皮が気になる年齢のお子さんには、無理せずむいてあげてくださいね。

(りんごのポリフェノールについては、りんごポリフェノールと食物繊維、美容にいい理由でもくわしく紹介しています。)

成分は“チーム”で働く——「食品マトリックス」という考え方

同じコーネル大学のLiu教授は、2003年の総説論文(American Journal of Clinical Nutrition)で、果物や野菜のよさは、たくさんの成分が足し算・かけ算のように組み合わさって生まれると述べています。そして、そうした複雑な組み合わせは、単一の成分を取り出した錠剤では再現しにくい、というのが論文の趣旨です。

栄養学ではこれを「食品マトリックス」と呼びます。食品の中で、栄養素がほかの成分や食物繊維、細胞のつくりと一体になっている状態のこと。2020年の総説(Frontiers in Nutrition)でも、栄養素がどれだけ体に取り込まれるかは、量だけでなく、その食品の中でどんな形で、何といっしょに存在しているかに左右されると整理されています。

わかりやすく言うと、

  • サプリ:エース選手を1人だけ呼んだ試合
  • 果物:チーム全員がそろった試合

エースの実力は同じでも、チームで動いたときにしか生まれないプレーがある——そんなイメージです。

ボウルに入ったいちごとブラックベリー、切ったブラッドオレンジが並ぶ様子

※写真はイメージです / Photo: Brooke Lark on Unsplash

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いちおしアイテム

記事の途中ですが、いちおしのアイテムをご紹介します。

「噛んで食べる」だけで変わること

果物には、錠剤やジュースにはない“形”もあります。それが噛んで食べる食物繊維です。

1977年に医学誌 Lancet に掲載された英国の試験(Haber ほか)では、同じ量の糖分を含むりんごを、丸ごと・すりおろし(ピューレ)・ジュースの3つの形で食べ比べました。

  • ジュースは丸ごとのりんごの約11倍の速さで飲めてしまう
  • 同じ速さで摂っても、満腹感は丸ごと > すりおろし > ジュースの順
  • ジュースとすりおろしでは、食後に血糖値がいったん下がりすぎる動きがみられたが、丸ごとではみられなかった

健康な大人10人という小さな試験ですが、「同じりんごでも、形によって体の反応が変わる」ことを示した、よく引用される研究です。

さらに、米国の約18.7万人を長期間追いかけた観察研究(Muraki ほか, BMJ 2013)では、ブルーベリー・ぶどう・りんごなど丸ごとの果物をよく食べる人ほど2型糖尿病の発症リスクが低いという関連がみられた一方、フルーツジュースは逆の関連が報告されています。

観察研究なので「果物を食べれば防げる」という因果関係を示したものではありません。それでも、「果物は、できれば丸ごと噛んで」という食べ方のヒントとしては、心強いデータです。

果物は“摂りすぎ”になりにくい

もうひとつ見落とされがちなのが、摂りすぎの話です。

国の研究機関(医薬基盤・健康・栄養研究所)は、錠剤やカプセル状の健康食品は手軽なぶん特定の成分を摂りすぎやすく、体調をくずすおそれがあると注意を呼びかけています。一方で、ふつうの食品は味や香り、かさがあるので、自然と食べる量にブレーキがかかります。りんごを一度に10個食べる人はあまりいませんよね。

「たくさん摂れば摂るほどいい」とは限らないことを示した、有名な研究もあります。

  • ATBC試験(フィンランド、1994年):男性喫煙者約2.9万人がβカロテン(にんじんなどに多い色素)のサプリを飲んだところ、肺がんの発生が飲まなかったグループより約18%多かった
  • CARET試験(米国、1996年):喫煙歴などのある人約1.8万人を対象にしたβカロテンとビタミンAのサプリの試験で、同じく好ましくない結果が出たため、予定より早く試験が中止された

これらは喫煙者など特定の条件の人が、高用量のサプリを飲み続けた場合の結果です。こうした研究をふまえ、米国予防医学専門委員会(USPSTF)は2022年、病気の予防を目的としたβカロテンとビタミンEのサプリはすすめないとの見解を出しています。

もちろん、サプリがすべてよくないわけではありません。妊娠を考えている女性の葉酸のように、公的に利用がすすめられている場面もありますし、医師から勧められている方はその指示に従ってください。基本は食事から、足りない分をサプリで補う——これがいちばん安心な使い分けです。

みかんの皮をむいて房を手のひらにのせているところ

※写真はイメージです / Photo: Ian Talmacs on Unsplash

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数字で見る:ビタミンC 100mgを果物で摂るなら

では、実際にどのくらい食べればいいのでしょうか。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、大人のビタミンCの推奨量は1日100mgです。日本食品標準成分表(八訂)の数値から、100mgぶんの目安を計算してみました。

果物 ビタミンC(100gあたり) 100mgに必要な量の目安
キウイ(緑) 71mg 約140g(1個半ほど)
いちご 62mg 約160g(中粒10粒ほど)
みかん 33mg 約300g(中4個ほど)
りんご(皮なし) 4mg 約2.5kg(現実的ではありません)

※個数は大きさによって変わるおおよその目安です。

茶色く毛羽立った皮のキウイフルーツが並んでいる様子

※写真はイメージです / Photo: Daniel Dan on Unsplash

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こうして並べると、「ビタミンCならいちごやキウイ」「りんごは、ビタミンC以外の成分と食物繊維を楽しむ果物」と、果物ごとに得意分野がちがうことがわかります。いろいろな果物を少しずつ組み合わせるのが、いちばん無理のない摂り方です。

ちなみに国の健康づくりの目標(健康日本21〔第三次〕)では、果物は1日200gが目安。みかんなら2個、りんごなら1個ほどです。ところが実際の摂取量は1日100g前後と、目標の半分ほどにとどまっています。「毎日くだもの200g運動」という取り組みがあるほど、私たちは果物が足りていないのです。

(みかんのビタミンCについては、みかんのビタミンCは美肌と風邪予防にでも紹介しています。)

編集部より:朝のヨーグルトにいちごやキウイを数切れ、おやつにみかんを1個。それだけでも、ぐっと200gに近づきます。お子さんと「今日は何グラム食べたかな?」と数えてみると、小さな食育にもなりますよ。

人に話したくなる“豆知識3つ”

最後に、そのまま人に話せるように短くまとめます。

  1. ビタミンCは、サプリでも果物でも吸収率はほぼ同じ。 違いは“いっしょに入っている成分”にある。
  2. りんごの抗酸化力を測ると、ビタミンC約1500mg分。 でもそのうちビタミンCは0.4%未満で、大部分はポリフェノールなどの力(Nature, 2000年)。
  3. 同じりんごでも、ジュースより丸ごとのほうが満腹感が高い。 噛んで食べる食物繊維にも意味がある(Lancet, 1977年)。

サプリは手軽で便利ですが、果物には錠剤に入りきらない“チームの力”と、噛んで味わう楽しみがあります。旬の季節には、ぜひ農園で採れたての果物を丸ごと味わってみてください。秋はりんご狩りのシーズンです(りんご狩りは何歳から?低い木で子どもでも採れる理由)。

※この記事は、公開されている研究論文・公的資料をもとに一般的な情報をまとめたものです。特定の食品やサプリメントの効果・効能を保証するものではありません。持病のある方、妊娠中・授乳中の方、服薬中の方は、医師や薬剤師にご相談ください。

参考・出典

  1. [1] Carr AC, Vissers MCM. Synthetic or Food-Derived Vitamin C—Are They Equally Bioavailable? Nutrients. 2013;5(11):4284-4304.
  2. [2] Eberhardt MV, Lee CY, Liu RH. Antioxidant activity of fresh apples. Nature. 2000;405:903-904.
  3. [3] Liu RH. Health benefits of fruit and vegetables are from additive and synergistic combinations of phytochemicals. Am J Clin Nutr. 2003;78(3 Suppl):517S-520S.
  4. [4] Bioavailability of Micronutrients From Nutrient-Dense Whole Foods: Zooming in on Dairy, Vegetables, and Fruits. Frontiers in Nutrition. 2020.
  5. [5] Haber GB, et al. Depletion and disruption of dietary fibre: effects on satiety, plasma-glucose, and serum-insulin. Lancet. 1977;2(8040):679-682.
  6. [6] Muraki I, et al. Fruit consumption and risk of type 2 diabetes: results from three prospective longitudinal cohort studies. BMJ. 2013;347:f5001.
  7. [7] The ATBC Cancer Prevention Study Group. The Effect of Vitamin E and Beta Carotene on the Incidence of Lung Cancer and Other Cancers in Male Smokers. N Engl J Med. 1994;330:1029-1035.
  8. [8] Omenn GS, et al. Effects of a Combination of Beta Carotene and Vitamin A on Lung Cancer and Cardiovascular Disease. N Engl J Med. 1996;334:1150-1155.
  9. [9] US Preventive Services Task Force. Vitamin, Mineral, and Multivitamin Supplementation to Prevent Cardiovascular Disease and Cancer (2022).
  10. [10] 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
  11. [11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース
  12. [12] 厚生労働省 e-ヘルスネット(健康日本21〔第三次〕果物摂取量の目標)
  13. [13] 農林水産省「果物の消費拡大(毎日くだもの200g運動)」

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FAQ

Q. ビタミンCはサプリと果物で吸収率が違いますか?

ビタミンCそのものは、合成されたものも果物に含まれるものも化学的に同じ物質で、吸収率(体に取り込まれる割合)はほぼ同等とされています(Carr & Vissers, Nutrients 2013 の総説)。違いが出るのは、果物にはビタミンC以外のポリフェノールや食物繊維などもいっしょに含まれている点です。

Q. りんごにはビタミンCが少ないのに、なぜ体にいいと言われるのですか?

りんごのビタミンCは可食部100gあたり4mg(皮なし・生、日本食品標準成分表)と多くありません。ただ、Nature誌に掲載された研究では、生のりんご100gの抗酸化力を化学的に測るとビタミンC約1500mg分に相当し、そのうちビタミンC自体が占めるのは0.4%未満でした。大部分はポリフェノールなど別の成分によるものです(試験管内での測定で、体内で同じ働きをするという意味ではありません)。

Q. 果物ジュースでも、生の果物と同じですか?

同じとは言い切れません。りんごを丸ごと・すりおろし・ジュースで食べ比べた試験では、ジュースがいちばん満腹感が低く、食後の血糖値の変動も大きくなりました(10人の小規模試験)。また約18万人を追跡した米国の観察研究では、丸ごとの果物とフルーツジュースで、2型糖尿病との関連が逆向きに報告されています。なるべく噛んで食べる“丸ごと”がおすすめです。

Q. サプリメントは飲まないほうがいいのですか?

そうではありません。妊娠を考えている女性の葉酸のように、サプリの利用が公的にすすめられている場面もありますし、医師から勧められている方はその指示に従ってください。ただ、錠剤やカプセルは手軽なぶん摂りすぎになりやすいと、国の研究機関も注意を呼びかけています。基本は食事から、足りない分をサプリで補う、という使い分けが安心です。

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